似たような製品なのに、注文が変わるたびに寸法を変更して、図面を整えて、見積書も作り直す。ものづくりの仕事では、こうした作業が繰り返されることがあります。
その作業を仕組みとして自動化できたら、設計者は新しい製品の開発や、難しい設計の検討にもっと時間を使えるかもしれません。今回は、SOLIDWORKSと組み合わせて使う「DriveWorks Pro」について調べてみました。
DriveWorksについては、過去に投稿していますが、今回は1番上のグレードの「Pro」だと、何ができるのかを調べて、まとめました。

私はDriveWorks Proを購入しておらず、ソフトウェアの設定や実際の運用は試していません。この記事は、公式サイトや公開されている資料をもとに整理した調査記事です。 実際の使いやすさや導入効果の評価ではなく、「どのようなことができるのか」「SoloやXpressと何が違うのか」を紹介します。
※情報確認日:2026年10月1日。掲載する図解・イラストは説明用で、実際の操作画面ではありません。
DriveWorksとは?設計のルールを、繰り返し使える仕組みにする
DriveWorksは、設計の知識や条件を「ルール」として登録し、入力された仕様に応じて、SOLIDWORKSの部品・アセンブリ・図面などを自動作成するためのソフトウェアです。
例えば、幅や高さが変わる収納棚を考えてみます。幅に応じて棚板の長さを変える、高さに応じて棚の段数を変える、選んだ材料に応じて部品や価格を変える。こうした判断を、計算式や条件分岐として設定しておくイメージです。
公式サイトでは、ルールにExcelに似た書式を使えることも紹介されています。「どの寸法を、どの入力値や計算結果で変えるか」を結び付けて、設計の判断を再利用できるようにします。
ここで大切なのは、登録する設計ルールの内容です。自動化する前に、どこまで変更してよいのか、どの組み合わせが成立するのかを整理する必要があります。私としては、この整理そのものが、設計ノウハウを共有するきっかけになると感じます。

Xpress・Solo・Proの違いを整理してみた
DriveWorksには、Xpress、Solo、Proの3つの製品があります。主な違いを、用途の広がりに注目して整理しました。
| 比較項目 | DriveWorksXpress | DriveWorks Solo | DriveWorks Pro |
|---|---|---|---|
| 主な位置付け | 設計自動化の入門 | SOLIDWORKS内での設計業務の自動化 | 設計自動化・製品の仕様選択・見積りを広く連携 |
| 提供形態 | SOLIDWORKSに付属する無料の入門製品 | 有料のSOLIDWORKSアドイン。30日間体験版あり | 有料。用途に応じたモジュール構成 |
| 部品・アセンブリの自動作成 | 基本的な自動化 | 対応 | 対応・さらに拡張 |
| 図面 | 部品・アセンブリごとに図面を作成 | シート・ビュー・注記なども制御 | Soloの機能を含み、さらに高度な処理に対応 |
| 見積書・部品表などの文書 | 文書作成機能は対象外 | 組み込みテンプレートを使って作成 | Word・Excelなども使った柔軟な文書作成 |
| 仕様入力・プレビュー | 基本的な入力フォーム | SOLIDWORKS内で仕様入力・プレビュー | 社内用画面に加え、ブラウザーでの仕様選択・3D表示へ展開可能 |
| Webで顧客や販売店が利用 | 対象外 | 対象外 | DriveWorks Liveで対応 |
| 無人での出力生成 | 対象外 | 対象外 | DriveWorks Autopilotで対応 |
| 他の業務システムとの連携 | 限定的な入門用途 | 設計部門内の利用が中心 | PDM・ERP・CRMなどとの連携に対応 |
※用途をつかむための要約です。Proの各機能は、必要なモジュール、ライセンス、環境、設定に依存します。詳細は公式比較表を確認してください。
Xpressは、まず基本的な設計自動化に触れるための入り口です。寸法・フィーチャー・カスタムプロパティなどをルールで変更し、類似製品のデータを作成できます。
Soloでは、図面の細かな制御や部品の置き換え、ファイル名・保存先の制御など、設計業務で必要になる機能が広がります。見積書や部品表の作成も、Soloの段階で可能です。 「文書を作りたいから必ずPro」という理解ではありません。
そしてProでは、設計部門の作業から、営業や顧客による仕様選択、Webでの利用、社内システムとのデータ連携まで対象が広がります。

Proでできること① 注文ごとの3Dモデルと図面を作成する
DriveWorks Proでは、注文仕様に合わせたSOLIDWORKSの部品・アセンブリ・図面などの生成を自動化できます。元になるマスターモデルを用意し、入力条件と設計ルールに応じて新しいファイルを作る仕組みです。
公式説明では、アセンブリ内の部品の置き換えや、図面のシート・ビュー・注記などの制御も紹介されています。形状を変えた後の図面の調整まで、あらかじめ決めたルールに沿って処理できることがポイントです。
例えば、制御盤の箱であれば、幅・高さ・奥行きから板金部品の寸法を変え、扉や部品の選択を反映し、図面や部品表へつなげる、といった仕組みが考えられます。これは機能を理解するための仮想例で、私が作成・検証したものではありません。
Proでできること② Webで仕様を選び、3Dで確認する
Proの特徴として興味を持ったのが、「製品コンフィギュレーター」です。少し難しい名前ですが、製品のサイズ、材質、色、オプションなどを選んで、希望する仕様を組み立てる画面のことです。
DriveWorks Liveを使うと、この仕組みをWebブラウザーから利用でき、営業担当者や販売店、顧客が仕様を選べるようになります。パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンからの利用も想定されています。
選択した内容をインタラクティブな3Dプレビューで確認できるため、言葉や数値だけでは伝えにくい形状や組み合わせを共有しやすくなります。
ただし、ブラウザーで仕様を選ぶことと、SOLIDWORKSの製造用モデルを生成することは、役割を分けて理解する必要があります。顧客がCADを操作する代わりに、用意された選択画面を使い、その結果を裏側の自動化処理につなげるイメージです。Webのプレビューが変わるたびに、すべての製造用CADファイルがその場で完成するとは限りません。
Proでできること③ 仕様選択から価格計算・見積書へつなげる
DriveWorks Proは、CPQにも対応しています。CPQは「Configure・Price・Quote」の略で、仕様を決める、価格を計算する、見積りを作る、という一連の流れを指します。
例えば、寸法、材料、追加オプションに応じた価格ルールを設定しておけば、仕様選択と見積りを結び付けることができます。価格の決め方や元データは、利用する企業が用意する必要があります。
Proでは、WordやExcelなどを利用した文書作成も紹介されています。見積書だけでなく、部品表や製造用の補助資料などを、同じ仕様情報から作成する仕組みを構築できます。
設計用の数値と、営業用の見積書の数値をそれぞれ手入力している場合には、入力の重複を減らす余地がありそうです。実際の効果は、現在の業務の流れと、構築する仕組みによって変わります。
参考:公式:DriveWorks Pro/公式:Documents
Proでできること④ 承認の流れや業務システムと連携する
Proでは、誰が仕様を入力し、誰が承認し、いつ文書や製造用データを生成するのか、といった業務の流れも設定できます。
例えば、営業担当者が標準範囲の仕様を入力したら見積りを作成し、特別な仕様の場合は設計者の確認を挟み、承認後に製造用データを生成する。こうした流れを、自社の業務に合わせて考えられます。
また、SOLIDWORKS PDMやERP、CRMなどとの連携も公式に紹介されています。PDMは設計データの管理、ERPは販売や生産などの業務管理、CRMは顧客情報や営業活動の管理を行う仕組みです。
連携方法には、組み込みの連携ツールを使うものや、専用の連携製品を利用するものがあります。使用中のシステムと自動でつながるとは限らず、データ項目の対応付けや設定、必要な製品の確認が伴います。
参考:公式:Workflow/公式:Integrations
Proは、目的に合わせてモジュールを組み合わせる
公式サイトでは、Proを構成する主要な4つのモジュールが紹介されています。
| モジュール | 主な役割 |
|---|---|
| DriveWorks Administrator | 自動化プロジェクトの設定・管理・テスト・実行などを行う中心的なモジュール |
| DriveWorks User | 社内の担当者が、用意されたプロジェクトを使って仕様を入力・実行する |
| DriveWorks Autopilot | 専用の環境で、データや文書の生成などを無人で処理する |
| DriveWorks Live | 仕様選択や3D表示の仕組みをWebブラウザーから利用できるようにする |
Autopilotは、設計者の作業用パソコンで毎回手動処理する代わりに、専用のワークステーションやサーバーで処理を実行するためのものです。Liveと組み合わせて、Webからの仕様入力を文書やデータの自動生成へつなげる構成も紹介されています。
このため、導入を考える際は「Proなら全部同じ構成」と考えず、設計者が使うのか、社内の営業担当者にも使わせるのか、Webで顧客にも公開するのかを整理しておくことが大切です。
参考:Administrator/User/Autopilot/Live
公式事例が分かりやすい!折りたたみドアのコンフィギュレーター
仕組みを理解する参考として、公式の折りたたみドアの事例を紹介します。
公式記事では、幅・高さ、パネル数、材料、ガラスや金具などを選び、3D表示と価格を確認しながら仕様を決める流れが説明されています。ドアの開閉アニメーションもあり、完成後の使われ方を伝える工夫が見られます。
さらに、仕様を確定した後に、SOLIDWORKSの部品・アセンブリ・図面、部品表、切断リストなどを生成する仕組みが紹介されています。
この事例を読むと、Proが目指しているのは「寸法を自動で変える」ことに加え、製品を選ぶ段階から、製造に必要な情報をそろえる段階までつなげることなのだと理解できます。
※この事例記事は2020年公開で、DriveWorks 18についての説明を含みます。現在の画面や機能の詳細は、最新の製品情報と併せて確認してください。
購入していなくても、公開デモや動画が参考になる
公式の「DriveWorks Live」デモサイトには、ドア、収納家具、電気設備用の筐体、棚、トレーラーなどのコンフィギュレーター例が掲載されています。ソフトウェアの購入・設定とは別に、公開されている完成例を確認する入り口になります。
私はこの記事で、デモを操作して検証した結果は紹介していません。操作感が気になる方は、次のサイトから公開例を確認してみてください。
YouTubeについては、DriveWorks公式の次の動画が参考になります。以下の2本は2013年公開のため、現在の操作手順としてではなく、処理の考え方を知る参考として掲載します。
Web上で新しい仕様を作る流れ
DriveWorks Pro – Creating New Designs on the Web(DriveWorks公式/2013年12月10日公開)
標準テーマを使って、Webから新しい仕様を作る流れを紹介する動画です。Web利用の入口をイメージする参考になります。
テンプレートから見積り関連文書を作る流れ
DriveWorks Pro – Creating Quote Documentation(DriveWorks公式/2013年11月12日公開)
見積り関連の送付状をテンプレートから作成し、内容を制御する方法を紹介する動画です。文書作成の仕組みを知る参考になります。
ほかの公式動画を探す場合は、次の一覧も利用できます。
調べて感じたこと:自動化の準備には、設計の理解が必要
今回調べて、私が特に興味を持ったのは、設計の知識を、ほかの担当者も使える形にできることです。
例えば「この幅ならこの部品を使う」「この材料とこの加工方法は組み合わせない」といった判断には、設計者の経験が含まれています。それをルールとして整理すれば、営業担当者が仕様を選ぶ段階でも、設計上の条件を反映できる可能性があります。
一方で、自動化の品質は、元になるモデル、ルール、価格データなどの品質に左右されます。限界寸法や例外条件を確認し、生成したモデルや図面が正しいか検証することは欠かせないと考えます。
新しい構造を毎回考える仕事や、条件がほとんど共通しない一品ものでは、どこを自動化できるか、個別に検討する必要がありそうです。まずは「よく繰り返す製品」「変更箇所が整理できる製品」から考えると、対象を見つけやすいのではないでしょうか。
設計教育の視点でも、寸法を変える操作だけでなく、「なぜ、その寸法や部品になるのか」を説明する練習につながりそうです。これは実際の利用効果を検証した結論ではなく、今回の調査をもとにした私の考えです。

おわりに
DriveWorksを調べてみると、Xpressは設計自動化の入り口、SoloはSOLIDWORKS内の設計業務を広く自動化する製品、ProはそこからWebでの仕様選択や見積り、業務の連携へ広げる製品として整理できます。
特にProは、設計者の繰り返し作業を減らすだけでなく、営業や顧客が選んだ仕様を、設計・製造に必要な情報につなげる仕組みを構築できる点が興味深いですね。
まだ実際にProを設定して使ったわけではありませんが、今後確認したいのは、どこまでルールを整理できるか、例外をどう扱うか、どのモジュールが必要になるかという点です。
「3D CADを使って形をつくる」ことから、設計の知識を、繰り返し使える仕組みにする。ものづくりの仕事を考えるうえで、DriveWorks Proは調べてみる価値のあるソフトウェアでした。
